柔軟剤の匂いしない原因は？香りを残す洗濯術【香りのプロが解説】

お気に入りの柔軟剤を使っているのに、なぜか洗濯物からいい匂いがしない、と感じたことはありませんか。中には、今まで香っていたのに急に柔軟剤の匂いがしなくなった、という方もいるでしょう。

全自動洗濯機の自動投入機能を使っているのに柔軟剤が匂いしない場合、その原因がどこにあるのか気になりますよね。もしかしたら、ドラム式や縦型といった洗濯機の種類が関係しているのかもしれません。

また、多くの人が疑問に思う「干すと柔軟剤の匂いが消えるのはなぜ？」という問題や、乾く過程で香りが飛んでしまう仕組みについても気になるところです。

この記事では、そもそも柔軟剤の匂いがしない原因は何ですか？という根本的な問いに答え、いい香りを残すコツは？方法、特に脱水工程のポイントまで、具体的な解決策を徹底解説します。

一方で、柔軟剤の匂いが強い人はなぜそうなるのか、その理由にも触れながら、香りがきつい柔軟剤のランキングや、逆に匂い控えめなタイプ、そして今人気の柔軟剤まで、あなたの悩みを解決するための情報を網羅的にお届けします。

なぜ柔軟剤の匂いがしない？考えられる原因

• そもそも匂いがしない原因は何ですか？
• 急に柔軟剤の匂いがしなくなった時の確認点
• 全自動洗濯機の自動投入で柔軟剤が匂いしない
• ドラム式と縦型による香りの付き方の違い
• 干すと柔軟剤の匂いが消えるのはなぜ？乾く時

そもそも匂いがしない原因は何ですか？

洗濯後に柔軟剤の香りがしない場合、その原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。まず結論から言うと、柔軟剤の性能を最大限に引き出せていない日々の洗濯習慣に問題がある可能性が高いと考えられます。

香りを感じられない時に考えられる主な理由として、以下の5つのポイントが挙げられます。一つずつ見直してみましょう。

匂いがしない5つの主な原因

1. 柔軟剤や洗剤の量が不適切：多すぎても少なすぎてもNG
2. 洗濯物を一度に洗いすぎている：柔軟剤が全体に行き渡らない
3. 洗濯槽自体が汚れている：カビや雑菌が香りを妨害する
4. すすぎが不十分で洗剤が残っている：柔軟剤の吸着を阻害する
5. 香りの強い洗剤を使用している：香りが混ざり合ってしまう

第一に、柔軟剤の使用量が少なすぎると、当然ながら香りは弱くなります。しかし、「香りを強くしたいから」と規定量以上を入れるのは逆効果です。

過剰な柔軟剤成分は繊維をコーティングしすぎてしまい、タオルの吸水性が著しく低下したり、衣類に黒ずみが発生する原因になったりします。まずは製品パッケージに記載されている使用量の目安を正確に守ることが、香りを楽しむための第一歩です。

第二に、節約や時短のために洗濯物を洗濯槽に詰め込みすぎると、衣類が密集して水流が妨げられます。その結果、洗剤や柔軟剤が全体に均一に行き渡りません。

これでは、一部の衣類にしか香りがつかないムラのある仕上がりになってしまいます。洗濯物の量は、洗濯プロのコツ（出典：LION）でも推奨されているように、洗濯槽の7～8割程度に抑えるのが、洗浄効果と香り効果の両方を高める理想的な量です。

また、見落としがちなのが洗濯槽の汚れです。洗濯槽の裏側には、目に見えない黒カビや溶け残った洗剤カスがヘドロ状になって溜まりやすく、これが雑菌の温床となります。

この汚れが洗濯中に衣類へ付着すると、柔軟剤の心地よい香りを打ち消し、不快な生乾き臭を発生させる大きな原因になります。月に一度は市販の洗濯槽クリーナーを使用するなど、定期的なメンテナンスが欠かせません。

他にも、すすぎが不十分で洗剤成分が衣類に残っていると、柔軟剤の陽イオン界面活性剤が繊維に吸着するのを物理的に邪魔してしまいます。

そして、香り立ちの良い洗剤と柔軟剤を組み合わせると、それぞれの香りが混ざり合ってしまい、結果としてどちらの香りもぼやけて感じられなくなることがあります。

急に柔軟剤の匂いがしなくなった時の確認点

「昨日までは確かにお気に入りの香りがしていたのに、今日洗ったものから急に匂わなくなった」という不思議な経験はありませんか。

このように突然香りが感じられなくなった場合、柔軟剤の製品や洗濯機の故障を疑う前に、ご自身の嗅覚に原因がある可能性も考えてみましょう。

これは嗅覚の「順応（じゅんのう）」と呼ばれる現象です。同じ香りを日常的に嗅ぎ続けていると、脳がその香りを「日常的で安全な刺激」と判断し、次第にその香りに対して鈍感になるのです。

これは、異臭や危険な匂いをいち早く察知するために人体に備わった、ごく自然な防衛機能の一つと言えます。

嗅覚の順応とは？

例えば、親しい友人の家に入った時に特有の匂いを感じても、しばらく滞在するとその匂いが気にならなくなるのと同じ原理です。

自分では「香りがしなくなった」と感じていても、家族や周囲の人にとっては以前と同じように十分に香っているケースは少なくありません。

もちろん、嗅覚の順応以外の物理的な原因も考えられます。急に匂いがしなくなったと感じたら、一度立ち止まって以下の点を確認してみましょう。

急に匂わなくなった時の確認リスト

• 柔軟剤の保管状況: 柔軟剤も化粧品などと同じく、開封後は少しずつ酸化が進み、香りが劣化します。特に、直射日光が当たる場所や高温多湿な場所に長期間保管していた場合、香りが飛んでしまうことがあります。
• 洗濯機の設定変更: 無意識のうちに「念入りコース」や「注水すすぎ」など、通常よりもすすぎ回数が多いコースを選択していませんか。すすぎの回数が増えれば、その分柔軟剤も洗い流されやすくなります。
• 洗濯物の素材の変化: 例えば、綿のTシャツばかり洗っていた週と、ポリエステルのスポーツウェアを多く洗った週とでは、香りの残り方が変わります。一般的に、ポリエステルなどの化学繊維は香りが強く残りやすく、綿や麻などの天然繊維は香りが穏やかになる傾向があります。

まずは一度、ご家族や信頼できる友人に洗濯物の香りを客観的に評価してもらうのが最も確実な方法です。それでも「香りがしない」と指摘された場合は、柔軟剤の保管場所や洗濯機の設定を丁寧に見直してみましょう。

全自動洗濯機の自動投入で柔軟剤が匂いしない

近年の全自動洗濯機に標準搭載されつつある「液体洗剤・柔軟剤 自動投入機能」は、毎日の面倒な計量の手間を省いてくれる画期的な機能です。しかし、この便利な機能を使っているにもかかわらず「なぜか柔軟剤の香りがしない」という声も増えています。

結論から述べると、自動投入機能で香りがしない場合、その原因は投入機能の「設定ミス」または「メンテナンス不足」である可能性が極めて高いです。

まず最初に確認したいのが、柔軟剤の投入量の設定です。多くの洗濯機では、柔軟剤の銘柄の特性（濃縮タイプか否か）や使用者の好みに合わせて、「多め」「標準」「少なめ」といったように基準量を細かく調整できます。

この設定が「少なめ」になっていたり、購入時の初期設定のままだったりすると、洗濯物の量に対して柔軟剤の供給量が慢性的に不足し、結果として香りが弱くなることがあります。

そして、もう一つの非常に多い原因が、投入口や内部経路の詰まりです。柔軟剤にはある程度の粘度があるため、長期間使用しているとタンクの底や液体が通る経路で徐々に固まってしまい、スムーズな投入を妨げることがあります。

タンクには十分な量の柔軟剤が入っているように見えても、実際にはごく少量しか洗濯槽に供給されていないというケースです。

月に一度の定期的なお手入れが不可欠

自動投入タンクやその周辺パーツは、多くのメーカーで月に1回程度の清掃が推奨されています。お手入れを怠ると、詰まりだけでなく、タンク内でカビや雑菌が繁殖し、かえって洗濯物のニオイの原因になることもあります。

お手入れ方法は機種によって大きく異なるため、まずはご自宅の洗濯機の取扱説明書をよく確認してください。（参考：シャープ ドラム式洗濯乾燥機 お手入れ方法）

「そういえば、購入してから一度も掃除したことがないかも…」と感じた方は、要注意です。ぬるま湯を使って固まった柔軟剤を丁寧に溶かしながら、付属のブラシなどで優しく洗浄してあげましょう。

この一手間だけで、まるで新品の時のように柔軟剤の香りが復活することも珍しくありませんよ。

ドラム式と縦型による香りの付き方の違い

現在ご家庭でお使いの洗濯機が「ドラム式」か「縦型」かによっても、柔軟剤の香りの付きやすさには明確な違いが生まれます。どちらが良い・悪いというわけではありませんが、それぞれの特性を理解することが重要です。結論を言うと、一般的にはたっぷりの水で洗う縦型洗濯機の方が、香りが残りやすい傾向にあります。

この違いは、それぞれの根本的な洗濯方式から来ています。

縦型洗濯機は、洗濯槽に十分な水を溜め、底にある大きな羽（パルセーター）を回転させることで力強い水流を生み出し、衣類同士をこすり合わせる「もみ洗い」が基本です。最後のすすぎの際も、衣類全体が柔軟剤の溶けた水にしっかりと浸かるため、香り成分が繊維の隅々まで均一に浸透しやすいのが大きな特徴です。

一方、ドラム式洗濯機は、少ない水でドラム槽自体を回転させ、衣類を高い位置から下へ落とす衝撃で汚れを落とす「たたき洗い」を行います。大幅な節水効果が最大のメリットですが、衣類全体が水に浸かる時間が短いため、縦型に比べて柔軟剤が繊維に行き渡りにくい場合があります。

洗濯機の種類	洗浄方式	メリット	香りに関するデメリット
縦型	もみ洗い（多量の水）	高い洗浄力 香りがつきやすい	衣類が傷みやすい 水道代がかさむ傾向
ドラム式	たたき洗い（少量の水）	高い節水効果 衣類に優しい 乾燥機能が強い	香りがつきにくい 洗浄力が比較的穏やか

ただし、これはあくまで基本的な傾向に過ぎません。

最近の高性能なドラム式洗濯機には、最終すすぎのタイミングで高濃度の柔軟剤溶液を衣類に直接吹きかける「香りコース」や、スチーム機能を利用して香りを定着させるモデルも登場しています。

お使いの洗濯機に搭載されている機能を最大限に活用することで、ドラム式でもしっかりと香りを楽しむことは十分に可能です。一度、洗濯機の取扱説明書を読み返してみることをお勧めします。

干すと柔軟剤の匂いが消えるのはなぜ？乾く時に消える？

「洗濯機から取り出した直後は、あんなにいい香りがしていたのに、乾くとほとんど消えてしまう」というのも、柔軟剤の香りに関する悩みで非常によく聞かれるものです。

この現象の主な原因は、香り成分そのものが持つ「揮発性」と、熱や紫外線に弱いという化学的性質にあります。

柔軟剤の香りを作り出している香料の多くは、常温で蒸発しやすい「揮発性」という性質を持っています。

特に、直射日光が当たる場所での天日干しは、太陽光に含まれる紫外線の影響と、衣類の温度上昇によって、香り成分の分解や揮発が一気に促進されてしまうのです。気持ちよく乾きますが、香りを残すという観点では最適な方法とは言えません。

同様に、乾燥機の使用も香りが飛んでしまう大きな原因です。乾燥機は60℃以上の高温の温風で水分を強制的に蒸発させますが、その過程で繊細な香り成分も水分と一緒に衣類から飛ばされてしまうのです。

香りを残す乾燥の最適解は「部屋干し」

少し意外に思われるかもしれませんが、柔軟剤の香りを最も効率的に衣類へ残す乾燥方法は、風通しの良い日陰での「部屋干し」です。

紫外線や急激な温度変化の影響を直接受けにくいため、香り成分が穏やかに繊維に留まってくれます。

ただし、乾くのに時間がかかると生乾き臭の原因菌であるモラクセラ菌が繁殖するリスクもあるため、サーキュレーターや除湿機を活用して、室内の空気の流れを常に作ることが成功の鍵となります。

つまり、洗濯物にしっかりと香りを残したいのであれば、洗濯から乾燥までの一連の流れをトータルで考える必要があります。特に、最後の「乾かす」という工程は、香りの持続性を大きく左右する非常に重要なポイントと言えるでしょう。

柔軟剤の匂いがしない悩みを解決する洗濯術

• 柔軟剤の匂いを残すコツとその方法
• 匂いを残す方法！脱水時間を見直そう
• なぜ？柔軟剤の匂いが強い人の使い方
• 香りがきつい柔軟剤ランキングと特徴
• ほのかに香る匂い控えめ柔軟剤のおすすめ

匂いを残すコツとその方法

柔軟剤の香りを洗濯物にきちんと残すためには、いくつかの簡単なコツがあります。その結論は、「柔軟剤がその効果を最大限に発揮できる清潔な環境を整える」ことに尽きます。

特別な道具を新たに購入する必要はなく、日々の洗濯方法をほんの少し見直すだけで、驚くほどの効果が期待できます。

1. 洗濯の基本は「汚れを完全に落とす」こと

まず最も重要で、全ての基本となるのが、洗濯の段階で衣類に付着した皮脂汚れや汗、食べこぼしなどを完全に落とし切ることです。

目に見えない汚れが繊維に残ったままの状態で柔軟剤を使用すると、汚れごと繊維をベっとりとコーティングしてしまい、雑菌がそれをエサにして繁殖する原因となります。これが不快なニオイと混ざり合い、柔軟剤の繊細な香りを妨げてしまいます。

洗剤は規定量を守り、特に汚れがひどい襟元や袖口は、固形石鹸などで予洗いをする、あるいは酸素系漂白剤を使ったつけ置き洗いを活用するなど、汚れをリセットしてから洗濯機に入れる習慣をつけましょう。

2. 最後のすすぎ水で「つけ置き」する

全自動洗濯機の場合、通常は最後のすすぎのタイミングで柔軟剤が自動投入されます。この時、すぐに脱水工程に移る前に、一度洗濯機を「一時停止」させ、5～10分ほどつけ置きするという一手間が非常に効果的です。

これにより、柔軟剤の有効成分が繊維の奥深くまで時間をかけてじっくりと浸透し、香りが物理的に定着しやすくなります。

ただし、つけ置き時間が長すぎると、せっかく綺麗になった洗濯水の中で雑菌が再び繁殖を始めてしまうリスクもあります。つけ置きは長くても15分程度を目安にし、長時間放置することは避けましょう。

3. 無香料・微香性の洗剤を選ぶ

前述の通り、香りの強い洗剤は、それ自体が良い香りであっても、後から加える柔軟剤の香りと混ざり合い、結果的にお互いの良さを消してしまうことがあります。

柔軟剤本来の香り、例えば特定のフローラルな香りやサボンの香りを楽しみたいのであれば、ベースとなる洗濯洗剤は無香料、または香りがごく控えめなタイプを選ぶのが賢明です。

これにより、香りのレイヤリング（重ね付け）による失敗を防ぎ、純粋な柔軟剤の香りだけをクリアに衣類に残すことができます。

匂いを残す方法！脱水時間を見直そう

香りを衣類に残すためのテクニックの中で、意外な盲点となりがちなのが「脱水時間」の設定です。洗濯物をできるだけ早く乾かしたいという思いから、つい最長の脱水時間を設定しがちですが、実はこれが香りを遠ざけてしまう大きな原因になっているのです。

結論として、柔軟剤の香りを衣類にしっかり残したいなら、脱水時間は意図的にできるだけ短く設定するのが正解です。

脱水は強力な遠心力で水分を物理的に吹き飛ばす工程ですが、この時に繊細な香り成分も水分と一緒に衣類から飛ばされてしまうのです。

通常の全自動洗濯機のコースでは5分～8分程度に設定されていることが多いですが、これを思い切って3分程度に手動で変更してみてください。

たったこれだけの工夫で、洗濯物に適度な水分が残り、その水分と共に香り成分も繊維に留まりやすくなります。

脱水時間を短くするメリット・デメリット

• メリット：柔軟剤の香りが格段に残りやすくなります。また、衣類の絡まりやシワが少なくなるため、干す作業が楽になり、アイロンがけの手間が省けることもあります。
• デメリット：洗濯物に残る水分量が多いため、乾燥に時間がかかります。特に湿度が高い日の部屋干しでは、生乾き臭が発生しないよう、サーキュレーターの活用や除湿機の併用が必須となります。

特に、ふんわりと仕上げたいタオル類や、香りそのものを楽しみたいお気に入りの衣類を洗う際には、ぜひ一度試していただきたい効果的な方法です。

ただし、乾きにくくなるというデメリットも正しく理解した上で、その日の天候や干す場所の環境に合わせて、脱水時間を賢く調整することが大切です。

なぜ？柔軟剤の匂いが強い人の使い方

自分は香りがしないと悩む一方で、電車内やオフィス、エレベーターの中などで「柔軟剤の香りが強すぎるな」と感じる人に出会った経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。

このような周囲の人が不快に感じるほど強い香りは近年「香害（こうがい）」と呼ばれ、単なる好みの問題ではなく、中には頭痛や吐き気といった身体的な症状を引き起こす人もいる深刻な社会問題として認識され始めています。

では、なぜ一部の人は、他人が不快に感じるほど香りが強くなってしまうのでしょうか。その理由は主に以下の2つが考えられます。

• 嗅覚の慣れ（順応）により、本人が香りの強さに気づかず使用量が過剰になっている
• 香りを長持ちさせるタイプの柔軟剤を、さらに香らせようと規定量以上使っている

最も多い原因は、やはり前述した嗅覚の「順応」です。本人は毎日同じ香りを使用しているため、自身の鼻がその香りにすっかり慣れてしまい、香りが弱い、あるいは全くしないと感じてしまいます。

そして、「もっと香りをつけたい」「買った当初のように香らせたい」という思いから、無意識のうちに規定量を大幅に超える柔軟剤を投入してしまうのです。本人は良かれと思ってやっている行動が、知らず知らずのうちに周囲へ多大な迷惑をかけている、非常に典型的なケースです。

この問題の難しいところは、本人に全く悪気がない点です。「自分は大丈夫」と思っていても、気づかないうちに香りが強くなっている可能性は誰にでもあります。

時々、意識して違う系統の香りの柔軟剤を使ってみたり、数回に一度は無香料タイプを挟んでみたりすることで、自分の嗅覚を定期的にリセットする習慣を持つことが、意図せぬ「香害」の加害者にならないための自衛策と言えるでしょう。

実際に、国民生活センターも注意喚起（出典：独立行政法人国民生活センター）を行っており、自分にとって快適な香りでも、他人も同じように感じるとは限らないこと、そして体調不良の原因にもなりうることを指摘しています。

香りは非常にデリケートな問題であり、TPOをわきまえた配慮が求められます。

香りがきつい柔軟剤のランキングと特徴

「とにかく香りを一日中長持ちさせたい」「香水のようにしっかり香るタイプが好き」という強いニーズに応える、香りの強度や持続性を最大の特長とした柔軟剤も根強い人気があります。

これらの製品は、香りを閉じ込めた目に見えないほど小さな「マイクロカプセル」といった先進技術を用いていることが多く、着用中に衣類がこすれるなどの物理的な刺激が加わるたびにカプセルが弾け、フレッシュな香りが再び広がるという仕組みになっています。

ここでは、一般的に香りが強く、持続性が高いと評価されることの多い柔軟剤の系統をいくつか紹介します。ただし、これはあくまで香りの強さを求める方向けの情報であり、使用量や使用シーンには十分な注意が必要です。

香りが強く持続しやすい柔軟剤の代表例

1. ランドリン クラシックフローラル: 上品でありながら華やかなフローラルの香りが特徴。香りの持続性が非常に高いと多くの口コミで評価されています。
2. レノアオードリュクスシリーズ: まるで高級ホテルのリネンのような、洗練された複雑な香りが長時間続くとされています。香りの種類も豊富です。
3. ファーファ ファインフレグランスシリーズ: 香水のようにトップ、ミドル、ラストと時間経過による香りの変化を楽しめるように設計されており、奥深い香りが特徴です。
4. IROKA ネイキッドリリーの香り: 透明感のあるフローラルの香りがピュアで清潔な印象を与えますが、香り立ちはしっかりとしています。

使用上の注意点と「香害」のリスク

これらの製品は香りが強い分、パッケージに記載された規定量をわずかでも超えると、意図せず「香害」の原因に直結しやすいという大きなデメリットがあります。

特に、通勤電車やオフィス、学校、病院など、人が密集する閉鎖的な空間へ出かける際の衣類に使用する場合は、使用量を規定量よりさらに少なめに調整する、あるいは使用を避けるといった賢明な判断が求められます。

自分の好みだけでなく、周囲の環境（TPO）を最優先に考えて使い分けることが、香りを楽しむ上での最低限のマナーです。

ほのかに香る匂い控えめな柔軟剤のおすすめ

強い香りが苦手な方や、職業柄香りを控えめにしなければならない方、また、デリケートな肌を持つ赤ちゃんの衣類にも安心して使いたいという方には、無香料や微香性の柔軟剤が最適な選択肢となります。

これらの製品は、過度な香りづけよりも、衣類をふんわりと柔らかく仕上げる、静電気の発生を防ぐ、ホコリや花粉の付着を抑制するといった、柔軟剤本来の機能性に特化しているのが特徴です。

近年は、前述した「香害」への社会的な意識の高まりから、こうした匂いが控えめな柔軟剤の市場は大きく拡大し、ラインナップも非常に充実してきています。

無香料・微香性タイプのメリット

最大のメリットは、使う人や場所、シーンを一切選ばないという普遍性にあります。香りでごまかすことがないため、部屋干しをした際のわずかな生乾き臭にもいち早く気づくことができ、洗濯の失敗を防げます。

また、お気に入りの香水やボディクリーム、ヘアオイルなどの香りを邪魔することがないため、自分自身の香りのコーディネートを存分に楽しめる点も大きな魅力です。

匂いが控えめな柔軟剤の代表例

1. ファーファ フリー＆（フリーアンド）: 香料だけでなく、着色料、抗菌剤、シリコンといった4つの成分が無添加で、とことん肌への優しさを追求した製品です。アレルギーが気になる方にも選ばれています。
2. ヤシノミ柔軟剤: 高い生分解性を持つ植物由来の柔軟成分を使用し、環境への配慮もなされています。柔軟剤にありがちな吸水性の低下を抑える処方が特徴で、タオルなどに最適です。
3. さらさ 柔軟剤: 植物由来の厳選された成分を配合し、赤ちゃんや敏感肌の方の衣類にも使える優しい肌触りを実現。ほのかに香るピュアソープの香りは、誰からも好かれやすい清潔感があります。
4. ハミング素肌おもい 無香料: 独自の「摩擦ストレス低減発想」で、ふんわりとしたやわらかさを追求。天然由来の柔軟成分で、衣類のチクチク感やゴワつきを抑えます。

柔軟剤は香りを楽しむためだけのアイテムではありません。衣類をいたわり、日々の着心地を向上させるという本来の重要な役割に立ち返り、ご自身のライフスタイルや価値観に合った製品を選んでみましょう。

柔軟剤の匂いしない！を解決する方法について総括

この記事では、「柔軟剤の匂いがしない」という多くの人が抱える悩みについて、その根本的な原因から具体的な解決策までを多角的に、そして深く掘り下げて解説してきました。

最後に、この記事の最も重要な要点をまとめます。

これらのポイントを一つひとつ実践し、ご自身のライフスタイルに合った人気の柔軟剤を選ぶことで、きっとあなたの長年の悩みは解決へと向かうはずです。

• 柔軟剤が匂わない根本原因は使用量や洗濯物の詰め込みすぎにある
• 香りの強い洗剤は柔軟剤の香りを妨げることがあるため無香料がベター
• 見落としがちな洗濯槽や自動投入口の汚れは月に一度は掃除する
• 急に匂わなくなったと感じたらまずは自身の嗅覚の慣れを疑う
• ドラム式洗濯機は節水仕様のため香りが飛びやすい特性を持つ
• 縦型洗濯機は豊富な水量で洗うため比較的香りが残りやすい
• 香りをしっかり残す最大のコツは最後のすすぎ水での短時間のつけ置き
• 脱水時間は3分程度の短時間設定が香りを留める上で非常に効果的
• 香りの揮発を防ぐには直射日光を避けた風通しの良い部屋干しが最適
• 強い香りの原因は本人の嗅覚が麻痺し使用量が過剰になっていることが多い
• 周囲への配慮として香りが強すぎないか意識する「香害」への配慮が大切
• 香りの強さで柔軟剤を選ぶ際はTPO（時・場所・場面）を必ず考慮する
• 強い香りが苦手な場合は肌にも優しい無香料や微香性タイプを選ぶ
• 便利な自動投入機能は詰まりを防ぐための定期的なメンテナンスが不可欠
• 正しい知識と少しの手間をかければ柔軟剤の香りは必ず楽しめる